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教室にはざっと二十人くらいの生徒たちが思い思いの場所で談笑していたり、本を読んでいたりしている。
翔の方を見ると、もう知り合いが出来たのか四人の男女と話していた。
あいつは昔から人見知りしない性格らしく、周囲に溶け込むのがかなり上手いのだ。
続いて怜の方を見ると、一人で窓際の一番後ろの席に座って本を読んでいた。
タイトルは………ダメだ、英語で書いてあるからさっぱり分からん。学術書か何かか?
「なあなあ、今日は何の本読んでるんだ?」
俺は怜の隣に座り、怜に話し掛けた。
ちなみに怜の前の席が翔である。
「ん、ハ○ーポッ○ーの英語訳版」
怜が本に栞を挟み、本を閉じて答えた。
まさかの超大作ファンタジーでした。
「英語訳版で読む意味が分からねえよ………」
「何を言う。英字の本を読むことによって英語の文法の勉強になるんだぞ」
怜は大真面目な顔を俺へと向かう。
まあ、確かに怜は頭脳明晰で成績優秀の秀才だからそんな本が読めるのだろう。
俺だったら訳すのに多分半年くらいかかるかもしれない。
「あ、あの………」
「ん?」
そうやって怜と他愛もない話をしていると自分を呼ぶ聞き慣れない声に振り向いた。
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