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振り向いた瞬間絶句した。
「あの……隣、いい?」
腰まである鴉の濡れ羽のような艶のある漆黒の髪、見ていると吸い込まれそうな黒の瞳、小柄で華奢な体つき、白磁のような白い肌。
つまり、目の前には驚くほどの美少女がいるのだ。
女にそれほど興味が無い(かといってホモというわけでも無いが)怜も珍しく反応が無い、ということは本当に誰もが認めるほどの美少女なのだろう。
「え、えと………」
なにやら戸惑った様子でこちらを見やる少女。
どうやら俺が見とれていて返事が無かったので困惑しているようだ。
「あ!! い、いいよ、全然」
「そう………」
慌てて返事すると少女は安心したように微笑みながら隣の席に座る。
(おい、どういうことだ?)
(あれだ、ここしか空いてる席が無かったんだろ)
何がなにやら分からぬまま怜にアイコンタクトを送っているとそんな返答が返ってきた。
確かに周りを見るともう全ての席が埋まっている。人がいない席と言えばいまだ雑談に興じている翔の席だけだろう。つかまだ話してんのかい。
ざっと見渡したところ、男子18人女子17人の計35人で我がF組は構成されている。
なるほど、それで俺の隣がこんな美少女なんて運が良すぎないか?
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