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「う~っす、おはよ~」
俺はリビングのドアを開けた。
「あ、兄さん。おはよ」
そこには既に椅子に座って朝飯を食べている奈月の姿があった。
「おう、奈月。お前だけか? 父さんと母さんは?」
「お父さんもお母さんももうお仕事行ったよ。お母さんは朝ご飯の用意してから」
俺の両親は二人とも貿易する企業同士の仲立ちの仕事をしている。
二人ともかなり重要な地位にいるにもかかわらず普通に帰ってきたり休みがあったりするのだ。
まあ父さんも母さんもかなりワガママな性格してるため「休みくれないと仕事しない~!!」とか言ってるんだろうけど
「って、これ全部母さんが用意したのか?」
俺は椅子に座って朝飯を食べようとするもそのラインナップに驚いた。
ご飯に味噌汁に焼き鮭、卵焼きにハム、それに色とりどりの野菜サラダ。
「うん。お母さん一体何時に起きてるんだろうねえ」
一つ一つは簡単な料理だが全て、しかも二人分作るのには結構な時間がかかる。
「相変わらず母さんの料理は凄いな」
「お母さんお料理好きだもんね~」
母さんは大の料理好きで朝昼夕の三食全て用意したがる。
一食分でも俺か奈月が作ろうものならそれだけでかなり拗ねるのである。
「さて、と。冷めない内に食うかな」
俺は箸を手に取り、まず卵焼きを口に入れる。
うん、今日も卵がふわっとしていてかなり美味い。
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