入学式の朝ってなんかドキドキするよね

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洗面所で歯と顔を洗い、軽く髭剃りしてから自室へと戻って制服へと着替える。 「やっぱりなんか違和感あんな……」 俺はネクタイを締めて姿見で全身を確認しながら呟く。 違和感があるのも当然だ。中学の時は学ランだったのが高校に入ってからブレザーなのだ。 「うし、もういいか」 最終チェックをした後、俺は鞄を持って自室を出た。 「奈月、いってきます」 「はいは~い。兄さん、いってらっしゃい」 俺は奈月に声をかけてから玄関の戸を開けた。 ――――― 「ん、冬弥じゃん」 「……よう、冬弥」 家を出て数分、俺は後ろからの声に振り向いた。 「よう、翔、怜」 そこには俺の悪友が対称的な姿で向かってきていた。 「いや~、何か入学式ってワクワクすんよな」 ニコニコと笑みを崩さずに俺の右肩に腕をのせるのは綾部翔。 身長は俺より若干高く、運動神経抜群の考えるより先に体が動く典型的な体力バカ。 「……さっきから翔の奴がこの話題を繰り返してきてウザい」 対称的にクールに俺の左隣を歩いているのは八坂怜。 俺より身長が低いが目線が鋭く攻撃的で、さらにかなりの毒舌家(一部例外)だが成績優秀で落ち着きがある根っからの頭脳派 「なんだと!! 怜、お前は本当に俺には優しく無いな!!」 「お前に優しくしても何も得られん」 「まあまあ、喧嘩してねえで行くぞ」 この二人は小学生からの悪友であり、親友である。
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