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「う……あぁ… 」
何だこれは――?
体が動かない――
「ガアァァアアァァ!!」
ナハトさんは私の横で悲鳴をあげていた
「『竜角折りの鎚(ガンドレッド)』」
魔具――――
動け、動かないと殺られる!
「残念。噂の最強を謳う『天狼』がこれほど弱いとは…」
動け―――
「ぬしらを潰した後、本拠地を攻めてもいいかもしれん」
口だけでもいいから―――
「ではセアラ=ローガン、まずはぬしからだ」
動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け!!!
「死ね」
「『盾(シールド』!!」
ガキィン!!
「何故…だ…?何故動けるのだ!?
あの土の破片には強い麻痺毒が塗られてて、口も動かないはずなのに……何故だ!?」
「ハァ、ハァ、知りませんよ…」
危なかった…早く体勢を整えないと…
イヤ、その前に――
「『快復(リカバー)』、『治癒(レストア)』」
ちなみに『快復』は状態異常回復、『治癒』は体力回復です
「な……しまった!」
「…フゥ、回復ゥゥ!!ありがとよ。借りが出来ちまったぜぇ!
どうやって返そうかなぁ?」
「黙ってくれれば十分です」
「何だと!?」
「それより」
「あ?」
「久しぶりに『コレ』使うんで下がってててください」
本当に久しぶりだ。この魔導書『賢者の愛読書(リーヴル)』を使うのは―――
「フン、何かと思えば魔導書か……
そんな下級魔術師の持ち物で儂に勝つだと?笑わせるな!?」
「ただの魔導書じゃないんですよ」
「ほざくな…!『土竜叩き(ダウンポアー)』!」
老将の叫び声と共に土が大量の杭となり、鋭利になってる部分を私達に向けて浮いていた
だけどこんなのはピンチではない
「『賢者ノ砕水(ワイズ=アブリューション)』」
そう唱えると私の周囲に水の柱が出来た
そして柱から腕がでてきて土の杭を握り潰し、土ごと柱に戻った
下準備はこんなものですかね――
「そんな……馬鹿な…儂の土魔法がこんな…呆気なく…」
「トドメだ―――
賢者ノ濁流水弾(ワイズ=マッドショット)!!」
不純物だらけの水柱達から、大量の水弾が老将を襲う
「ぬ…ぐ……グァァアァァァァァァ!」
「ご老体にこの水責めはきつかったでしょうか?大丈夫。溺死はしないようにしてありますから…」
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