義勇団『天狼』

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ここは荒廃した土地 『ロックドルマ』 ここの最南端には集落があり、そこには、「軍人お断り」と書かれた旗が門に突き刺さっている その門の前に一人の青年が立っている 今ナレーションをしているこの私だ 申し遅れました、私セアラ=ローガンと申します 目的?バ科学者共、もしくはその子孫への復讐の為にこの、義勇団『天狼』に入団する事です 私は軍人ではないので集落に入らせてもらった 入って3歩で私は自分に向けられた殺意を感じた。向けられた方向を見ると赤髪オールバックの私よりちょっと年上っぽい人が立っていた 「オイ、アンタ。ここのモンじゃねぇな?どっから来た?」 「『フロウ』から来ました。目て――!」 「おぉッとぉ!?『何処から来た?』という質問に対しての答えだけにしか俺はアンタに発言を許しちゃいねえハズだぜ?」 と、彼は私の首にジャックブレードを突き付けた 「後は団長と話しているがいいさ」 『天狼』集落団長室 「ソマ村が潰されたか……6年前のフロウ村壊滅より酷いらしい」 「そんなことはデュー君がこっちに矛先が向くように軍人をちゃんと殺せばいいんじゃない?」 「そっちなら少なくとも今より被害は減ると思うよ」 分かってないなと言わんばかりに団長 デューク=エグトリアは溜め息をついた 「いいか?確かに軍人殺しまくれば被害は減るかもしれないだが、それをやれば奴等と一緒よ。俺達は義 勇 団 なんだ」 「その意見についてもう少し詳しくお聞かせ願いたいものですね」 やはり驚かれていますね…… でも、今のは聞き捨てならない 団長殿の言葉を言い換えれば 俺達は殺さない と言っているのです 「オイ、ナハト」 「ハ、ハイ!」 「それ、何だ?」 「えと…コイツは…その……天狼に入りたいと…」 ナハトといった赤髪オールバックの口調が急にたどたどしくなった それもそのはず さっきまで不殺を熱弁していた男とは思えない程の威圧感(プレッシャー)だったからだ 例えるならば、そう肉食獣の数兆倍といったところですかね 「フム……」 カツッカツッカツッカツッ しかもその威圧感を撒き散らしながら私に迫ってくる これは――恐い 『あの日』に匹敵する恐怖感だ 15m 10m 5m、そしてお互いの距離に 団長殿の手が私に伸びてきた――
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