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「……いってきます」
聞こえるか聞こえないかの微妙な声で、形だけの挨拶をする。
心配性な割に大雑把なお袋には、これくらいが丁度良い。
「よっ、と」
靴を履いた時にズレて来た鞄を、肩にかけ直して外に出た。
天気は文字通り快晴。
五月の暖かい陽射が身体に心地良い。
でも、俺はこんな平和な日常を求めてないんだ。
普通に起きて、普通に学校行って、普通に飯食って寝て…。
マンネリ化された日常なんて要らない。
もっと何か、頭を揺さぶられるような出来事。
好奇心に身体が疼くような出来事。
いつしか良い意味であれ、悪い意味であれ、"事件"を求めるようになっていた。
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