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トントントントン…
軽快で規則正しいリズムで、包丁の音がする。
それに良い匂い。
誰だ…
姉さんだろうか。
否、それはない。
あいつと暮らしてるから。
よたよたと部屋を出ると、見慣れた後ろ姿がせわしなく動いていた。
「…ブルー?」
「あら、おはよう。
朝御飯もう少しで出来るから。」
さも当たり前だと言うように、背を向けたまま会話をする俺の彼女。
その後ろ姿はどこか楽しそうだった。
「どうしてお前、ここに…」
するとブルーは勢いよく振り向いた。
包丁を手にしたまま。
「昨日、あなたが合鍵を渡したのよ?
…忘れたの?」
目を丸くして俺に問いかける。
とりあえず、その包丁を置いてくれ。
俺が黙っていると、
「なんてね!
メタちゃんでちょちょいと♪」
ブルーがニシシと笑った。
「お前、それ犯罪じゃ…」
「あーら、私たちの仲なんだから良いでしょ?
せっかく朝御飯作ったんだし、一緒に食べましょ!」
「ったく、お前は…」
と言う反面、喜んでいる自分もいる。
そういえば、あいつは料理が出来るのか。
とりあえず、椅子に座って待っていることにした。
「お待たせ!」
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