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「…で、今に至ると。」
コクンとシルバーが頷いた。
確かに用意周到だとは思った。
ここに食材なんてろくなものがない。
たまに姉さんがやって来て、料理を作ったその余りとか。
それに、わざわざ試しに作って、味見までさせていたとは…。
俺は、別にブルーが作るものだったら何だって食ってやるつもりだ。
甘味は苦手だが、惚れた女が作るものなら構わない。
「シルバー、アイツは、ブルーはどこにいると思う?」
正直見当がつかなかった。
仕事仕事で、アイツと出掛けることなんてほとんどなかったから。
気晴らしに散歩に行こう
とブルーは何度も誘ってくれてはいた。
だけど、幾度となく俺は断っていたのだ。
今思えば、アイツには我慢ばかりさせていた。
それなのに、今日も俺はブルーを突き放してしまった。
「…多分、ゴールドの家だと。」
「ゴールド!?」
思いがけない名前に、思わず声を荒げる。
「イエロー先輩の家には、あんまり行けないみたいですから。
レッド先輩との仲を、邪魔したくないらしいです。」
そう考えれば、一番無難なのがゴールドだろう。
アイツはクリスと未だに恋仲でもない。
俺の愚痴でもこぼしているんだろう。
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