お迎え

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困ったことになった。 「何言ってんす。そんなのあちき以外にありえないでありんす。主様、そうでありんしょう?」 「1番はメル。むらさきじゃない」 「あ~、あいあい、あちきはどうも白髪のちんちくりんとは合わないでありんすね……お前、きらいでありんす」 「メルも。むらさき嫌い」 非常に困った。誰を1番なんて決められないし、そもそもしもべってなぁ。メイドか料理人になってもらいたいっていうのはあるけど。 「誰がむらさきでありんすか白猫!」 「白猫じゃない。メルはメルシー」 「お前なんか白猫で充分でありんす! あちきより弱いくせに」 「まだ……終わってなかったもん」 「はっ、主様が止めてなければ、お前なんか炭くずになってたでありんす」 「……」 「なんざんすかその目は? あちきはいつでもいいでありんすよ?」 「はいそこまで」 どこからかゴングが鳴りそうな気配がしたので、今度は間に入って止める。 しかし互いに睨み合うのをやめない。椅子の上で寝息を立てるクロナのお気楽さを少し見習って欲しいものだ。 何で椅子の上かというと、寝ぼけて爪を立ててくるから。首も締めてくるので、間に入る前には降ろしておいた。 さて、このまま放置すればまた喧嘩するだろう。炎姫【イグニス】がその気になれば、メルシーは簡単に殺されてしまう。 止めれば抑えるだろうけど、怪我させそうで心配だ。 ジジイならひと睨みで解決するんだろうな……僕にあの眼力はない。 いや、諦めるな。こちとらあのジジイからの薫陶は嫌という程受けている。 足りない威圧感は……魔力で補え。 炎姫【イグニス】の魔力の流れと発動の瞬間は、はっきりと捉えることが出来た。それを真似してみればいい。 僕は自身の魔力を解放しようと、意識を自身の奥深くに向けるのだった。
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