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そこで気付いた。
「おぉ、桐島もか。昨日ぶり」
少々失礼な気がするが、委員長の背後、そこに黒髪紫目の男子生徒がいることに。
彼――桐島迅(きりしまじん)は無表情のままで、「ああ」と小さく頷く。
ホント、表情の変化に欠けるよなぁ。
気配無く現れる時もあるし、忍者かよ。
そんな話はさておき、惜しいがここで彼等とお別れだ。……何この終業式なのに全然パッとしない空気。いつも通りじゃん。
「――……ねぇ、もしかして意図的に無視してるんじゃないでしょうね?」
脳内一人ツッコミをしてると、高圧的な声がこめかみ辺りを直撃した。この突き刺さるような声、間違いない。
ゆっくりと首を右へ回転。イメージは昭和の匂い漂う、壊れかけたオモチャ。果てしなくどうでも良い。
「いや、たまたまだっつーの。てか、もう帰ったもんだと……」
まずは弁解。次に観察。
真っ先に目に飛び込んできたのは、腰まで伸びたさらさらの銀髪だった。
銀は雪のようなイメージが俺にはあったりするのだが、こいつの髪は違う。氷だ。切れ長の青い瞳がより一層、連想させる。
浅倉凪(あさくらなぎ)。
俺を睨む女子生徒こそ、彼女だ。
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