第一章 分岐点

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そこで気付いた。 「おぉ、桐島もか。昨日ぶり」 少々失礼な気がするが、委員長の背後、そこに黒髪紫目の男子生徒がいることに。 彼――桐島迅(きりしまじん)は無表情のままで、「ああ」と小さく頷く。 ホント、表情の変化に欠けるよなぁ。 気配無く現れる時もあるし、忍者かよ。 そんな話はさておき、惜しいがここで彼等とお別れだ。……何この終業式なのに全然パッとしない空気。いつも通りじゃん。 「――……ねぇ、もしかして意図的に無視してるんじゃないでしょうね?」 脳内一人ツッコミをしてると、高圧的な声がこめかみ辺りを直撃した。この突き刺さるような声、間違いない。 ゆっくりと首を右へ回転。イメージは昭和の匂い漂う、壊れかけたオモチャ。果てしなくどうでも良い。 「いや、たまたまだっつーの。てか、もう帰ったもんだと……」 まずは弁解。次に観察。 真っ先に目に飛び込んできたのは、腰まで伸びたさらさらの銀髪だった。 銀は雪のようなイメージが俺にはあったりするのだが、こいつの髪は違う。氷だ。切れ長の青い瞳がより一層、連想させる。 浅倉凪(あさくらなぎ)。 俺を睨む女子生徒こそ、彼女だ。
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