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◇
そんなこんなで所は変わり、実習室。
職員室で爆睡していた新崎先生を叩き起こし、ここにやって来た次第だ。
何もない、だだっ広い空間。
それがこの実習室の最大の特徴である。
「今思ったんですけど、俺、念のために戦闘服に着替えた方が良いんじゃないんですか?」
「……あー、その必要はねぇよ。だってほら、面倒くさいだろ? そういうの」
同意していいのか微妙だが、一応頷いておく。ツッコめばキリが無いからな。
「ま、そんなに時間は取らないって理由もあるんだけどな。いや、あれだろ? 終業式の日って無駄に家でゴロゴロしたくなるだろ?」
やっぱ頷けねぇっ! あと、そんな『分かるだろ?』的な顔で見られても!
「まぁ……その、そうですね」と答えた俺に新崎先生は、少し残念そうに「本当にノリが悪くなったな城川。先生は悲しいぞ」と声を漏らす。俺に一体何を求めてんだ。
ともあれ、そんな感じで新崎先生とマンツーマンの特訓が始まった。
「さて。今回は……だな」
お馴染みのジャージ姿の新崎先生は、何やらさっきから右腕と脇で挟むように持っていた本を開き、俺に見せてくる。
召喚獣の図鑑、といった物だろうか。
開いたページには、召喚獣の絵と生態等の説明、召喚陣の描き方が書いてある。
それを指差しながら、新崎先生は続けた。
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