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◇
――とまぁ、こんな風に思うと余計に早く時は流れる訳で。
「ほら見ろッ! 気付けばもう当日じゃねぇか!」
北守召喚師学園、体育館。
大勢の生徒や教員でごった返す中、俺は堪らなくなって思わず声を荒げた。絶叫と言っても良いレベルである。
式はまだ始まっていないとは言え、そんな風に叫んでしまうと嫌でも周りからの注意を引き付けてしまう。結果、俺はただ小さくなるだけだった。
「何やってんだ俺……」と落胆する俺の肩を叩く、一つの気配。
「おう、朝から元気じゃねーか」
良哉だ。今日もツンツンに立てた茶髪と、首に掛けたヘッドホンは健在。
ちなみに今日は特別で、教室には行かずに体育館に直で集合のため、本日初めて顔を合わせたのだったりする。
にしても朝から元気なのはお前の方なんじゃねぇのか、と思う俺の視界の先、良哉はにこやかに言う。
「しっかし、何つーか大荷物だなぁ皆」
「そりゃ二泊三日だもんな。流石にスーツケースかボストンバッグになるだろ」
と、味気無く答えた俺なのだが、実際の所、体育館に入った時は正直ビビった。
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