第一章 分岐点

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十数分もの諸注意と説明の後、ようやく式の軽い練習へと移行する。 お辞儀等の姿勢、この場面では何をするとか、そんな基本的なものだ。普通の高校と比べてかなりざっとしていると思う。 多分、貴族や名家出身の生徒が多くて、礼儀は当たり前同然のものとして身についているからなんだろう。 金持ちばかりの名門学校の長所をこんな所で発見できるだなんて凄く微妙な気分だ。 そんな感想を抱く俺を余所に、練習はたった数分で終わりを告げ、本日のメインイベントへと突入する。 そう、東宮召喚師学園一年生の入場、そして団結式である。 スピーカーから溢れる大音量の音楽。それと共に、南方の出入口から見覚えのない制服姿の男女らが二列で流れ込んできた。 数は俺達と同じくらいなのだろうか。 目測でそんな推論を立てようとしても、やはり制服に意識が持って行かれてしまう。 何せ、色が違うから新鮮なのだ。 紺色の北守に対して、東宮のは緑色。 ブレザーという点では同じだが、こうも色が違うだけで印象が変わるとは思ってもみなかった。 観察している内に学年主任の話(またか)やらで式は進み、次は生徒代表挨拶になる。まずは東宮が、次にこちらの順番だ。
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