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俺は壇上に目をやる。そこには、先程階段を使って上り終えた一人の少女がいた。
彼女こそが、東宮の生徒代表なのだろう。身なりや雰囲気がいかにも模範生っぽい。
「……本日は――」
スピーカーを介して響く挨拶。定型文じみたそれをそっちのけで彼女を観察していると、俺はあることに気付いた。
……もしかしてハーフ?
そう思ったのは、真正面から俺達を見下ろす彼女の顔立ちがやや日本人離れしていたからだ。
「――以上、東宮召喚師学園一年生代表、江宮アリサ」
俺の疑問に答えるかのように、一年生代表の挨拶が終わる。いや実際はまだハーフなのか分からないんだけどな。
まあ、ともかく。
白いカチューシャが映える金髪。背中まで伸び、緩くウェーブしたそれを揺らしながら、江宮アリサは壇上から降りていく。
色素の薄い緑色の瞳がチラリと動き、俺と目が合ったような気がしたが、多分気のせいだろう。
ま、一年生代表なんか正直言ってどうでもいい。問題は推薦入学生だ。一体、どんな好戦的な野郎なんだホント……。
はぁ……、と内心で溜息をつく。
丁度、こちらの一年生代表が壇上に立った時のことだった。
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