第一章 分岐点

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こちらの生徒代表は、C組の瀬川らしい。話したことは皆無だが、俺とは違い、そつなく何でもこなせそうな印象を抱かせる男子生徒だ。 彼の挨拶は、江宮アリサに引けも取らず、中々定型文じみていた。きっと先生らが事前にある程度考えていたんだろうな。 両校の生徒代表挨拶が終わると、残りの項目はもう無いようなものである。 あっという間に式は閉幕となり、合宿モードへと移行する。とは言え、いきなり始まるのではなく、まずは荷物をクラスごとにまとめて体育館の隅に置けとのこと。 話によると、俺達が合宿に勤しんでいる内に、旅館(俺達が泊まる予定の)の方に持って行ってくれるらしい。 というか、寮生である俺は旅館に泊まる必要はないと思うんだけど、ウチのダメ担任いわく「あぁ? 確か寝食を共にすることでなんたらかんたらって蓮が――以下略」なので、従うしかないのだ。 でもまぁ、案外楽しみでもある。 …………寝食だけだがな! 「えっと……ここか? うんまぁ、ここだけ空いてるってことは、ここなんだろうな。よし、お前らここら辺に置け」 怠そうに指示を飛ばす新崎先生に従い、荷物を置く。再三に渡って言うが、やはり荷物が多いやつはかなり多い。一体何が入っているんだか。
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