第一章 分岐点

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校長先生いわく、夏休みは休暇じゃないんだとか。 だったら夏休みの『休み』の文字スルーしてんじゃん。そこら辺どうなのよ、と蒸し暑い体育館の中で、俺こと城川想介(しろかわそうすけ)は思った訳なのだが、やはりエリートは違う世界にいるんだなと一先ず完結。 ともかく、何故そんな果てしなくどうでもいいことを考えているのかと言うと、今は終業式の途中であまりにも退屈だからなのである。 ついでに補足するなら、校長先生の長い話と全校生徒すし詰めの相乗効果で温度が大変なことになってる。精神的に。 しかし俺の忍耐力を侮ることなかれ。早く終われと念じ続けたこともあってか、校長先生の話は終了。 後はとんとん拍子で式は進んでいき、式は閉幕となった。 「いやぁー、今日はもう終わったも同然だな、想介」 教室へ向かう生徒達。ごった返す大群の中に俺も入ろうとした時、背後から軽く数回肩を叩かれた。声を構成している成分は、大半が眠気。 「良哉、お前……寝てたんだな」 俺は振り向き、言葉を返す。 呆れた口調になるのは仕方がない。 「ああ、睡眠は大切だからな。寝る子は育つ」 そんなツッコミようが無い事を言うのは、俺の親友――久木良哉(ひさぎりょうや)だ。
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