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程よく立たせられた栗色の髪型と、首に掛けられたヘッドホンに自然と目が引かれる。また、綺麗な二重瞼と炎のような赤い瞳も彼の特徴と言って良いだろう。
てか、終業式でもヘッドホン装備って。後で校長先生に怒られても知らないぞ……。
「ところで想介、夏休みは何か予定とかあるのか?」
定番と言えば定番の質問。
それを良哉からされた。
「えっと、実家に帰る他には特に何も無いな。……我ながらなんて寂しい夏休み。でもまあ、忙しいよりかマシだよな」
もしもの話で、成績が芳しくない生徒向けの特別補習があったとしても、今の俺には無縁だ。超無縁。
何せ死ぬ気でテスト勉強を頑張ったからな。付け焼き刃程度のメッキと言えど、やれば意外といけるもんだ。
「そっか。でもな想介、忘れちゃいけないと思うぜ? ここはどういう所かってことをな」
「……召喚術の名門校、だよな」
「おう」
だから何だって言うんだ。てか、その何かを含んだ嫌らしい顔はやめて欲しい。
勿体振っているのか? もしそうなら教えてくれよ、と思ったが、ここは気のせいだということにしておこう。
前述した通り、俺の思う『夏休み』は『休暇』なのだ。もちろん召喚術とか剣の自主練は毎日欠かさずやるつもりだが、少しぐらいゴロゴロしちゃって良いじゃない。
ともかく、
「…………暑いな」
「……そうだな、想介」
言っても仕方が無いってことは分かってんだけどな。
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