第一章 分岐点

6/29
前へ
/31ページ
次へ
「あー……、篠沢のおかげで成績表がやってきたことだし、パッパと返していくかー。じゃ、前に置いとくから出席番号順に取りに来い」 とまあ、新崎先生が悪びれることもなく始まった成績表返却タイム。 教卓の上に鎮座する白い厚紙を取りに行くだけなので順番は次々と進んでいき、あっという間に俺の番となった。 「待て想介! まだ見るんじゃない!」 マイデスクに戻り、忌まわしき成績を隅々まで見てやろうとした時、良哉からのビックボイス。 「第一回、成績勝負。ルールは各教科の合計。オレが勝ってたらジュース一本な?」 ほほう、俺と勝負をしたいと? でも賭けるのか。あまり賭け事は好きじゃないから止め……、いや待て俺。 相手は良哉だぞ? 授業中であろうが何だろうがヘッドホン常備で、平常点ズッタズタ(予測)の良哉さんだぞ? ……よし。 まずは条件から聞こうじゃないか。 「じゃあ良哉、俺が勝ってたらどうなるんだ? ちゃんと何かあるよな?」 「ああ、もちろんだ。もし想介が勝ってたらジュースを一本見せてやろう」 なるほど――って、見せるだけかよ!
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1875人が本棚に入れています
本棚に追加