極彩色のチラシ

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なるほど、これはきっと迷わず行きなさいという神様からのお告げなんだろうと僕は確信した。 僕は置かれていた奇抜な二枚のうちの一枚を握りしめ部屋へと向かい、さっさと着替えを済ませた。 そもそも最初からおかしかったのだ。 家は父と母、そして僕を含めて誰一人として新聞を読まない。すなわち我が家は新聞をとっていないのだ。 それなのにどうしてテーブルの上に新聞が置かれていたのか。 その答えはあのチラシであると僕はすぐにわかった。 新しい物や変わった物が何よりも好きな両親に僕は無言の感謝をした。 きっとこれは両親が見に行くための物なんだろうけど、これは草むしりのお駄賃として僕は勝手に頂戴した。 ありがとう休日、ありがとう両親、そしてありがとう新聞勧誘の人。 僕は靴を履き玄関を飛び出した。 まるで遠足前日の夜のような、修学旅行先のホテルでの友達との談話のような。 それに非常に似たワクワクやドキドキが僕の心をすっかり支配していた。 結局、新しい物や変わり者好きな所は親譲りという事なのだろうと僕は自身を再認識した。 急ぎ足で駅へと向かう最中、強く握りしめたチケットはグシャグシャになっていた。
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