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青年は走っていた。
息を切らし、足をもつれさせ、声にならない悲鳴を上げ、終わりも見えず、それでも、それでも走っていた。
(なぜ……っ)
彼は考える。何故こんな事になったのか、と。
「何で逃げるの?」
走って、走って、走って。ようやく辿り着いた村の門。
足を止めて一息ついた瞬間に背後から掛けられた声に、青年は声にならない悲鳴を上げた。
年若い少年の声。
ついさっきまで見下し、嘲笑っていた少年の声は今では果てしない恐怖を青年に与えていた。
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