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ステージ1
「ハァ・・・」
俺はつい、溜息をついてしまった。
長旅をしたことによる疲れでもあるが、余りにも代わり映えの無い光景にウンザリとしたせいでもある。
今、俺がいる場所は、アメリカ合衆国だ。
世界中で大きく報じられた『アメリカ合衆国消滅』から、既に三ヶ月が経とうとしているが、それを今の俺が知るよしも無い。
わかっていることは、既にアメリカは以前の姿では無いこと位だ。
何故、こんなことになっているのか、俺は知らない。
何せ、旅をする前は、人里から隠れるように森の中で生活していたからだ。
何故隠れるように生活していたかは・・・、今はまだ語る必要は無いだろう。
そんな生活の中、アメリカの異変に気付いたのは、貴重な情報源である、ラジオ等が入らなくなったことからだ。
情報社会である今の世の中、それが欠けるのは非常に辛い。
仕方なく、比較的近い所にある町に行くことを決めたのだが、移動手段が徒歩だったこともあり、それだけでもちょっとした旅に近かった。
ともかく、時間はかかったものの、町に着くことは出来た。
だが、そこで俺は更なる異変に気付いた。
人っ子一人の姿すら無いのだ。
手当たり次第見て行っても、町通りにも、家の中にも、店にも人が居ない。その町は、映画に出てくるようなゴーストタウンの様な光景になっていた。
注意深く、様々な部分に目を凝らすと、異様なものが目に止まった。
血痕である。
それは、一つや二つではなかった。
しかも、ちょっとの量ではなく、流した人物がいたとしたら、死んでいる可能性が高いと簡単に想像できてしまう程のものだった。
そして、この光景に危機を感じ、すぐに自分の住家へ引き換えした。
その前に、店から品物をちゃっかり失敬していたが。
戻ってすぐ、俺は隠してあった銃や弾倉などを全て装備した。
さらに、リュックに旅に必要になる物品を詰め込み、住家を後にした。
近場の町が駄目なら、長旅覚悟で他の町や都市へ行くしかない。
それが俺の、旅の始まりだった。
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