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都市内へ入った俺は高層ビル郡を見上げていた。
流石に大都市だけあって、空が狭く見えた。
しかし、やはり人っ子一人見当たらない。
入ってすぐだから仕方ないのかもしれないが、まるで、世界に自分一人が取り残されたような気分になる。
また、一人きり故の心細さの為か、建ち並ぶ高層ビル郡が崩れて、自分が押し潰されてしまう様な想像をつい、してしまう。
・・・ダメだ、立ち止まると悪い方向に考えがいっちまう
そう思った俺は、更に進んで行くことにした。
錯覚に捕らえられていても仕方が無い。
それよりも優先すべき事は山積みなのだから。
長旅をしているが故に、まず何よりも必要なことは、食料確保だ。
これだけの大都市なのだ。
何も得られないということは、まず有り得ないだろう。
つまりはこんな状況だから、『無断で失敬』する、ということだ。
この旅の中で、段々と麻痺していっている内の一つが、これである。
平時であれば勿論問題だ。
だが、誰も居ない街から街へ旅をしているのだ。
ある面で、割り切るしか無い。
とにかく、食料を確保しなくてはならない。
そういった店を探すため、更に俺は先へと進み出した。
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