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食料を探しはじめてから、もう1時間近く経っただろうか。
これまでに店は幾つもあったが、肝心の食料確保が出来ないでいた。
考えられるのは、この惨状が起こった直後の混乱にあわせた火事場泥棒か、あるいは自分のような人物が居たかの二択。
恐らくはどちらもだろう。
なんにせよ、意地でも確保しなくてはならない現状に変わりは無い。
地道に一つずつあたるしか無いのだった。
更に探しつづけること、30分。
本日何件目になるか覚えてないが、コンビニを見つけた。
今度こそは『当たり』であって欲しいと願いつつ、入店する。
・・・どうやら、ようやく『当たり』を引いたらしい。
店内は多少、荒らされた形跡はあるものの、自分の必要としている量は充分にあるようだ。
荒らされたのは比較的最初の頃だったのだろう。
すぐに食べられるような食品は、かなり持って行かれている。
しかし、俺にとって最も必要な保存食類は、充分残っていた。
早速俺は保存食、缶詰やレトルト食品などを、リュックの中に詰め込んだ。
他には、水と、最低限の調味料である、塩とコショウの袋も確保した。
旅をしている中で、これが結構、重要になってくるのだ。
そして、充分に食料をリュックに詰めたところで、カウンターに向かう。
金を払う訳ではない。
嗜好品、つまりは煙草を手に入れるためだ。
カウンター内に入って棚を開けると、煙草は見つかった。
・・・流石に大衆ウケするようなものは無かった。
本当なら『マールボロ』辺りが欲しかったところだが、こればかりは贅沢は言えない。
あっただけでも充分だ。
「・・・ちっ」
しかし、やはり不満が無い訳ではないので、つい舌打ちしてしまったが。
とにかく、これで目的の一つ目は達成出来た。
そのまま、堂々と店から出る。
次の目的を達成しなくては・・・。
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