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「あぁ、つまりこうなることも予測していた、と」
道理で今回の報酬をこっちに全部回してきたわけだ。あーあ、やっぱり突っ返しておくべきだったな!
後悔先に立たず。貰った分は仕事しなきゃならんだろう。
やらなかったら尾上さんに殺される。
「明海さん、俺が前持ってきた書類残ってます?」
「あるわ。今持ってくる」
明海さんに渡された書類をざっと眺める。範田勇次郎の個人情報は既に見たからもういらん。残っている書類には範田勇次郎の行動範囲が記されており、目的のものは殴り書きされたメモの中にあった。
範田勇次郎所有物件一覧。
個人宅及び山間部別宅発見できず。
怒りが滲み出るような殴り書きだった。本当なら自分で見付けて容赦なくぶん殴りたいのだろう。と、いう気持ちがびしびしと伝わってくる。
終わった後に八つ当たりされないか心配になってきた。
尾上さんが理性的な人だということを祈る。サディスティックな人だということは否定しようのない事実だから諦めているけれども。
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