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「それを見て、何か解るの?」
「尾上さんが優秀だってのは解りますよ。まぁ苦手分野がどうもできないってところを除けば」
とりあえず、見当はついた。地図もあるし二時間もあればアスカを連れて帰れるだろう。
「明海さん、アスカ連れて帰ってこれてもアスカを叱らないでください。たぶん、自分の意思で出てった訳じゃないだろうし」
たぶん、何があったのか覚えてもいないだろう。夢うつつの中でさ迷った――その程度の感覚のはずだ。
生きていれば、だが。
「それはいいのだけど、そう言える理由があるの?」
「範田勇次郎は俺や尾上さんと同じろくでなしだった・・・・・・それだけです」
俺の友達を拐かして、無事に済むと思うなよ――そんな感じで、行ってみようか。
「貰った分は働きますよ、それなりにね」
原付走らせ一時間。地図の示す山は、ほんの少し人里から離れたところにあった。
森は浅く傾斜はなだらかで、ハイキングにはもってこいだが、残念ながらここは私有地なのである。
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