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「まぁいいか」
考えるのが面倒になってとりあえず結界の中に足を踏み入れる。
余計なことを考えず、結界をぶった切ってもよかったが、それは面倒というか、かなり消耗するのでパス。
そんなことしなくともこの程度なら迷わずに行ける。何せ、俺は鼻が良いからな。どこをどう歩けば正解か臭いを辿ればすぐ解る。
体感で二百メートルほど進んだところで結界を抜けた。
案外あっさりいったので若干拍子抜けだ。
二、三回ぐらいなら最初からやり直してもよかったのだが、上手くいかないものだ。まるで人生のようだ。
「でけぇな」
目の前に鎮座する巨大な邸宅を見上げ、感嘆の吐息を漏らす。
どうやらこの家をプレゼントした某は紛うことなき金持ちだったらしい。借金じゃなきゃいいが。残されている家族ためにも。
周囲に人の気配はないが、邸宅からは多数の人間がたむろっているのが解る。
生きているのか死んでるのか解らないが、とりあえずいる。
出来れば寝ているか、快楽に浸りすぎて、頭ゆるゆるになっていて欲しいなぁ。楽だし。
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