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死んでるのは少し困るな。アスカが死んでる可能性が高くなってしまう。
――まぁ、とりあえず踏み込むか。ここでボーッとしていてもしょうがない。何かあったらその時はその時だ。適当に何とかしよう。
と、いうことで扉を蹴破った。遠慮するつもりも容赦するつもりもなかった。ここは本気で。
ガーン、と甲高い音が邸内に響き渡る。
蝶番が弾けとび、扉の破片が高級そうな絨毯に吸い込まれるように落ちた。
やり過ぎたとは思わないが、音はでかすぎた。これは住人を叩き起こすには充分すぎる。
アスカが這い出してくれれば楽なんだが、そんなこと、滅多にあるわけがないのだ。
少なくとも、俺の人生で俺が狙ったことが上手くいった試しはない。
しかし、待てど暮らせども住人が這い出してくる気配はなかった。首を傾げつつ、手近にあった部屋のドアを蹴破る――前に開いているか確かめた。
鍵は開いていた。
そのままドアノブを捻り中の様子を窺う。
「・・・・・・っ!」
そこには五体投地をかます人間の群れ。頭を垂れているのは十字架でも仏像でもない。
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