プロローグ

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私の名前は梅原 美沙(ウメハラ ミサ)。中学3年生である。 先ほどから、なぜ私が走っているのかと言うとそれは体育館の器具庫に行くためである。 「…ハァ……ついたッ!」 あまりにも全力疾走しすぎたため息を切らせながらも私は体育館の器具庫に到着した。 私がこんなにも体育館の器具庫に執着してる理由はただ1つ。 ―――ポロン。 ―――――ポロン、ポロン 私は毎日この音を聞きに来ている。 この、ピアノの音を。 「今日も間に合った。」 そう小さく呟き私は体育館の入り口近くに座る。 中で誰が弾いているのかなんて当の昔に知っている。 その人が弾いているから毎日聞きにくるなんて、これじゃあ、ただのストーカーだ。 でも、このピアノの音は私を救ってくれたのだ。 あんなに惨めで暗かった私を。
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