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「我慢したんだからね。はじめは俺のだって、大声であいつに怒鳴ってやりたかった。」
俺は嫉妬剥き出しにそうはじめに当たった。
するとはじめは「へぇ、そう。」と軽く流すように返事をした。
その返事が軽すぎて、俺は重いため息を吐いた。
あの後男はスマートに残念だのなんだのと二言三言呟いてすぐに店を出ていった。
マスターと俺しかいない店だからもちろん会計はオレ。
二人の微妙な空気をまたはじめは楽しそうに見ていた。
店も終わり外に出たら、攻め立てたくて仕方がなくなっていった言葉も今みたいに軽く受け流されて。
彼女は本当に俺のことをただ虐めたいだけなのか。
こんな扱いは嫌だ。
ぎゅっと唇をかんでみる。
「よかったね、怒鳴らなくて。怒鳴ったら仕事首じゃない。あたしバーテン好きだからやめて欲しくないし。」
「よくないよ。仮にも彼氏の目の前で男といちゃつくなんて!」
「アハハ、響、怒ってる。」
「怒ってるよ! どうしてそんな風に笑えるんだよ?」
俺は笑われてカチンと来て、そんな風に怒鳴った。
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