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「くそ兄貴っ。
俺の大事なサッカーボール駄目にしやがって……」
俺、高島 雅彦(たかしま まさひこ)はサッカーが大好き。
毎日毎日サッカーボールをピカピカに磨きあげるのが日課。
この磨きあげたボールで練習するのがまたたまんないんだ。
なのに……。
なのに……。
お兄ちゃんは無断でボールを持ち出し楽しかった挙句、パンクさせやがったんだ。
思い出しただけでムカムカする。
来月のバイト代入るまで金ないし、新しいの買えないっての。
絶対弁償する気なさそうだし。
そんな善人であるなら俺のボールを無残な姿にはしないだろう。
運動オンチのくせに、何を血迷ったんだか。
ブブブ……。
俺のかばんの携帯が鳴ってる。
誰だよ、自由にさせてくれよ。
「もしもし?」
俺は渋々電話に出る。
『雅彦!
お兄ちゃんが事故に遭って意識不明なんだ!
すぐに〇〇病院に来てくれ!』
電話口から父さんの慌てた声が聞こえてきた。
「わかったよ、すぐにいく」
俺は足早に病院へ向かう。
……まじかよ。
全く、世話のやける兄貴だな。
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