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「ハハハ。
厳しい先生だな」
笑いながらお兄ちゃんは頭をポリポリかいた。
「さてと。
俺は一足先に帰って夕食作るからな」
俺達の会話を今まで黙って聞いていた父さんが立ち上がった。
「あぁ。
サンキュ。
もう少しだけ兄ちゃんといさせてくれ」
兄ちゃんともう少し一緒にいたいと思ったんだ。
高校生の俺と社会人の兄ちゃん。
俺達は普段はあまり顔を合わせない。
だから会話も少ない。
これは神様がくれたきっかけなのかもしれないと思ったんだ。
「構わんよ」
優しく笑い父さんは手を振りながら病室を後にした。
「珍しい」
そう言ってお兄ちゃんは目をパチパチさせた。
「た、たまにはいいだろ?」
俺は顔を耳まで赤くした。
我ながら臭い事を言ったなと恥ずかしくなっていた。
「そうだな……」
そんな俺を見てお兄ちゃんは穏やかな顔をした。
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