登下校の苦難

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 「え、もしかしてお前、校内女子全員の胸の大きさまで知ってるのか?」  「スリーサイズもバッチリ」  親指を立てる二宮。  …………。  その姿は紛れも無く、確実に、誰が何と言おうと、二宮直人なんて普通の名前は似合わない、スケベェだった。  「じ、じゃあ、ありがとな……スケベェ」  言って立ち去ろうと窓側一番後ろにある自分の席目掛け歩き出した時、後ろから肩を掴まれた。  「へ?」  振り向くと、肩を掴んでいた手をすっと離した。スケベェだった。  「君とは仲良くなれそうな気がするよ」  そして親指を立てるスケベェ。なぜかスケベェに気に入られてしまったらしい。『しまった』という表現は失礼かもしれないが、そうしなければ俺まで変態の仲間入りみたいになってしまう気がしたので、そこは許してほしい。  ともあれ、俺は変態ではないもののスケベェとアドレスを交換して友達になった。  それから放課後になるまでの間、スケベェから来たメールは二十件程。クラスメートの女子のランキングやスリーサイズ等様々な情報が送られてきたのだ。  ……絶対同類だと思われてる。  そしてこの日、歩く女子広辞苑ことスケベェには仲間がいる。という噂が広まったが、俺ではないと信じたい。
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