登下校の苦難

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 放課後にて、部室棟。  「本当に三階でいいんだよな……?」  今俺が居るのは部室棟の三階、の筈なんだが……。  「これじゃ物置だろ」  部室棟の二階までは各部の部室として使われている様子で、主に使っている部活は文化部らしいが運動部並に活気があると言っても過言ではない。  それが二階から三階に上がるだけで空気が一変。活気のかの字も見えない。何年も使っていない様な備品が山積みになっている。  本当に一番奥の部室に先輩はいるのだろうか。というかこんなに物があって、それも一番奥なんてちゃんと部室としてのスペースは確保できているのだろうか。そもそもなんで備品で山積みの三階を先輩は利用しているんだ? わからん。考えても仕方ないし、とりあえず行くしかないよな。  廊下は備品だけではなく、蜘蛛の巣がそこら中に張り巡らせてあり、まるで防犯対策の赤外線センサーをくぐり抜けて行く泥棒の気分だ。と言いつつもそんな泥棒気分はすぐに飽きてしまい、結果蜘蛛の巣を掻き分けて進む選択を取る。  「嘘だろ……」  今俺が言った言葉は決して備品や蜘蛛の巣に対して言ったわけではない。  俺が備品やら蜘蛛の巣やらを掻き分けて必死の思いで辿り着いた場所。部室棟三階一番奥の部屋の前。廊下と部屋を隔てる窓から部屋の中が見える。散々散らかっていた廊下とは違い、そこだけは綺麗にされていた。というかここで誰かが生活しているのではないだろうか。そう思わせる程に、テーブル、椅子、ソファー、冷蔵庫、テレビ、レンジ、まあ、生活するに当たって必要な家具家電がそこには揃っていた。
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