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だめだ…完全骨抜きにされちゃったみたい。
りっちゃんがいなくなると、朱音は私の方に向かって
「律人くんなら大丈夫だよ。いい人そうじゃん!」
とにっこり笑顔で言ったあと、「頑張ってね」と店をあとにした。
「はぁ~…。」
私はなんだかどっと疲れて、店のカウンターに突っ伏した。
「あの子帰ったのか。」
急に声がしてばっと顔をあげると、いつの間にか私の横にりっちゃんが座っていた。
「うわぁあぁあっ!!」
私はびっくりして、思わず席を横にずれた。
それをみて、りっちゃんは少し寂しげにフッと苦笑いして、
何も言わずに立ち上がってまたカウンターで作業を始めた。
「……朱音には優しいんだね。」
私がぼそっと呟くと、りっちゃんは小さくため息をついてから、
「別に。」
やっぱり私には素っ気ないんだな。なんかイライラする。
「わ、私は可愛くないからどうでもいいもんね!!」
自分でも憎たらしいことを言っているのはわかってる。
でも、なんだかもやもやする。
これじゃまるで…。
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