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「なに?嫉妬してんの?」
カウンターに肘をついて、笑いを堪えたように悪戯っぽい顔を私に近づけるりっちゃん。
「ち、違うよ!!勘違いしないでよね!!」
私が今思ったことをそのまま言われたので、
一気に赤くなった顔を慌て背けて、りっちゃんに背を向けた。
「ふ~ん…。ま、とりあえず俺はあの子を代わりにするなんて嫌だ。でもはっきり言ったら角が立つだろ?それに…」
そこで言葉を止めたりっちゃんにチラッと目を向けて、
「それに…?」
私が質問し返すと、りっちゃんはカウンターに頬杖をついて小さくため息をついてから、
「萌花の友達だから気悪くさせたくなかったし。」
と表情を変えぬまま目線だけを下に向けた。
考え方が大人なんだ…。
感心しながらつい横顔に見とれていると、りっちゃんはふぅ。ともう一度小さくため息をついて、
視線を私の方に向けたから、バッチリ目が合ってしまった。
「わ、私、外の掃除してくるから!!!」
私は慌てて視線を反らして、見とれていた恥ずかしさを紛らわすように、ガタカダと掃除用具を取り出して外に出ようとドアに手をかけた。
「その…。ありがと。」
恥ずかしくて、りっちゃんの顔はみれなかった。
その言葉だけ残してそそくさと外の掃除を始めた。
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