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「かわいいやつ。」
顔を真っ赤にして慌てながら外に出ていく萌花を見つめて、律人はふっと笑って呟いた。
「誰にも邪魔されたくないし。せっかく…せっかく二人きりなんだから。」
少し切なそうに外で掃除をする萌花を見つめながら、誰もいない店内で律人の呟きだけが響き渡った。
─夕方─
一応、一通り準備は済ませたし、後は開店するのみ。
私は外の看板を『OPEN』にして、来客を待った。
小さな町の小さなカフェだから来るのは大体が常連さんで顔見知り。
今日もやっぱり顔見知りの常連さんが来てくれた。
皆、私が店をやることに凄く驚いていたみたいだった。
学業と経営の両立…更に家のことと、りっちゃんとの同居。
目まぐるしいけど考えている暇なんてなかった。
8時過ぎに店も落ち着き、
最後のお客さんを見送って、看板を『CLOSE』にし、お店の中に戻った。
「つ、疲れたぁ~…。」
そう吐くと、どっと疲れが出て、カウンターにへたれこむように座った。
りっちゃんがいてくれて助かった。
来るのが常連さんだけとはいえ、やることがたくさんあって1人では手が回らない。
りっちゃんはさりげなくちゃんとフォローしてくれていて、
なんとかやることが出来た。
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