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これって…か、間接キスじゃ…!!
「うっ…あま…。」
りっちゃんはそんなこと気にしていないのか、フォークを再びもとの場所に戻して、
淹れたてのコーヒーをケーキの横に置いた。
「食わないの?」
フォークを見つめて固まったまま動かない私にりっちゃんが問いかける。
「おーい。萌花?」
りっちゃんに呼ばれて我に帰ると、目の前にりっちゃんの顔があった。
少しきつめな一重の綺麗な瞳、スッと通った鼻筋、形のいい唇…。
「うあっ!!」
思わずのけ反った瞬間、カウンター席からバランスを崩して落ちそうになった。
落ちる!!!そう思ってギュッと目をつぶった。
「──っ!!」
ガタンカダンッ!!!
すごい音とともに体に痛みが………ない。
そっと目を開けると、カウンターの裏側にいたはずのりっちゃんに抱き締められる形になっていた。
「あっぶね~…。」
5年前とは全く違う、りっちゃんの腕の感触。
胸板も腕の力も男の子になっていた。
「ご、ごめんなさい!!!」
慌ててりっちゃんから離れようとしたけど、りっちゃんは私を抱きしめる腕を緩めなかった。
「りっちゃ…」
「そんなに俺が嫌…?」
私が名前を呼ぶ前に、りっちゃんが切ない声で問いかけてきた。
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