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「こうゆうとこ昔から変わんないのな。」
うつ向いてる私に向かって、りっちゃんはぽそっと呟いた。
昔…、昔もご飯とかケーキ食べてるときに、
頬っぺたにクリームとかご飯粒をよく付けてて、りっちゃんに笑われたっけ。
あのときはこんな風に取ってくれるとかじゃなく、
思いっきり笑われて、「汚ねぇ!!」って言われてたっけ。
まさか今、1つ屋根の下で暮らすことになるとは思いもよらなかったけど。
あれこれしている内に夕食も終わり、私は片付けに入っていた。
「萌花あのさ。」
「ん~?なに?」
洗い物をしながらりっちゃんの言葉に耳を傾けた。
「昔のこと、ごめんな。」
りっちゃんがあまりにも小さい声で呟いたから、流れる水の音で全然聞き取れなかった。
水を止めてさっきの言葉をもう一度聞こうと振り返ろうとした時、
「え…?なっ…!!!」
りっちゃんの逞しい腕が私を抱き締めていた。
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