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ドクンドクンドクンドクンッ――――
鼓動の音がうるさいくらいに鳴り響いている。
私は後ろからりっちゃんに抱き締められたまま身動きが出来ずにいる。
「萌花…お前は俺のだったろ?」
りっちゃんはそう言うと、私を抱き締める腕をより強くして、私の肩に顔を埋めた。
「りっ…」
「側にいろよ。萌花…。」
ドキン――ッ!!
儚く消え入りそうな声で囁やかれて、
顔が一気に熱くなるのを感じた。
なんでいきなりこんなことになったか訳が解らなかった。
でも、この鼓動の高鳴りは?
私…、意地悪されても、時々優しいりっちゃんのこと…。
ドキドキとなる鼓動は素直な私の心を表しているようなそんな気がした。
どう伝えたらいいか解らずに黙って身を委ねるしかない私に、りっちゃんは
「俺のこと怖いよな?急にごめんな。」
と、抱き締める腕の力を弱めて、そっと体を離し、リビングを出ていった。
りっちゃんに抱き締められた腕の感覚、
触れていた体がそこだけ急に冷たくなって
切なくて、苦しくて、もどかしい感じがして、力なく地べたに座り込んだ。
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