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スッーと伸びてきた手に腕を掴まれてビックリして振り向くと
少しだけ体を起こして同じく驚いた顔のりっちゃんがそこにいた。
「萌花…今俺に…」
「い、言わないで!!」
腕を掴まれたまま真っ赤になった顔だけ背けてりっちゃんの言葉を制止した。
「……。」
シーンと静まり返るリビング。
りっちゃんに掴まれてる腕だけは熱を帯びて熱い。
その腕を、私が振りほどくことも、
りっちゃんが離すこともなく、私は顔を背けたままりっちゃんの顔が見れない。
「萌花。」
「…きゃあ!!」
沈黙を破り先に口を開いたりっちゃんに
急に腕を強く引っ張られてバランスを崩し、りっちゃんの膝の中に座る形になってしまった。
「わっ!!ごめ…」
慌てて立ち上がろうとする私をりっちゃんが後ろから抱き締めて立てなくなってしまった。
「寂しかった。」
「え…?」
「俺こんなんだから萌花が怖がるの当然だったのに…でも…」
また、りっちゃんの切ない声…。
私、この声ダメだ…。逃げられない、拒めない…。
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