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「それにぃ~1人じゃないわよ。」
ニヤニヤしながら言った後、「忙しい、忙しい」と言いながらまた準備に取りかかる両親。
1人じゃないって…じゃあ誰が…?
そんなことを思っていると家のチャイムが鳴った。
「来たかしら?萌花出て!」
「え!?なんで私が…。」
早く早くと言う母親の態度に膨れっ面になりながら、
ドアを開けた。
「はい。どちらさ…ま…!?」
ドアを開けた先に立っていたのは、同い年くらいの男の子だった。
黒髪でスラっと伸びた背、正直タイプな顔。
ん?でも顔は、なんかどこかで見たことあるような…?
そう考えているとリビングから母親が出てきて、私の横に並んだ。
「あら、律人くん久しぶり。」
ん?お母さん今、誰って言った?
頭にいっぱいはてなを浮かべている私を尻目に、男の子はそこで初めて声を発した。
「おばさん。ご無沙汰してます。」
声もイケメンなんだ…
って!!そういうことじゃなく!
聞き間違えじゃなければお母さん今…
「あら、そんな堅苦しい挨拶はしなくていいわよ~。それにしても、かっこよくなったわね、律人くん」
母親との会話に終始笑顔で話す男の子。
お母さんが2回も名前を読んだからもうわかる。
このイケメンは―――
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