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「り、りっちゃん…?」
私が言葉を発すると2人は会話を止めて私の方を向いた。
「萌花。久しぶり。」
お母さんと話していた時とは打って変わって、そっけない態度だった。
「久しぶり…って!!本当にあのガキ大将だったりっちゃん!?」
桐島 律人(きりしま りつと)、私と同い年。
お母さんとりっちゃんのお母さんが大親友でお店にも家にもよく遊びに来ていた。
意地悪で遊ぶ度に泣かされていて、本当に苦手だった。
中学に上がった頃くらいから、りっちゃん親子がお店に来るときは、
なるべく出掛けたりして5年間りっちゃんを避けていた。
5年ぶりの再会…。こんなかっこよくなってるとは。
「ガキ大将は余計だよ。今日からよろしくな。」
「え…?」
今日からよろしく?
まさか、お母さんが言っていた、1人じゃないって…
「あ、そうそう!説明の途中だったわよね。これからママ達、旅行だから律人くんが住み込みでお店の手伝いしてくれるのよ。」
「はぁ!?」
私の驚きは無視して「助かるわ~」とか言いながら、笑顔で手を叩く母親。
住み込みって!?
年頃の男女が一つ屋根の下で暮らすってこと!?しかも意地悪なりっちゃんと…
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