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「ちょ…お母さんそれはむ…」
「律人くんの両親もね、今、海外行ってるのよ。いい機会だし、萌花1人じゃ心配だからお手伝いしてもらおうってなったのよ。」
私の言葉を遮ってベラベラしゃべる母親。
チラッとりっちゃんの方を見ると、私の方を見ていたらしく、目があってしまった。
ドキッ―――!!
真っ直ぐに見つめられて、うるさいくらいに胸が高鳴る。
悔しいけど…顔はすごく好みなんだよね。
だから見つめられたら普通にドキドキしちゃう。
そして、なぜが視線が目がそらせない。
逃れられない――。そんな気がした。
「まぁ、そう言うことだから仲良くしてね。」
1人で話していた母親が喋り終わったらしく、私の肩をぽんっと叩いた。
それでふっと、我にかえって、すぐにりっちゃんから勢いよく目をそらした。
やばい。心臓が、まだドキドキしてる。
「それじゃあ、律人くんの部屋はこっちね。」
「はい。」
「え!?ちょっ…私まだ!!」
反対しようとする私を完全に無視して、りっちゃんを家に上げる母親。
こうなったらもう諦めるしか方法はないのかも…
はぁ~…とため息をつきながら動けない私にりっちゃんは横を通る間際、耳元に口を近づけて、
「全然成長してないね。最初小学生かと思った。」と呟いた。
私は一気に顔が赤くなるのを感じた。
意地悪なところ全然変わってない!!
だから5年間、りっちゃんのこと避けてたのに!!
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