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「消毒って!そんなの…」
「絆創膏貼っとけよ。」
まだ話の途中だし!!そう思ったけど、じゃあなって、
ひらひら手を振られちゃったもんだから何も言えなくなってしまった。
「絆創膏、貼っとかなきゃ…。」
独り言を口にしながら、りっちゃんが口にした指を見つめる。
少しまた血が滲む指は、熱を帯びていて、
ジンジンと痛んだ。
「もしかして…心配してくれたのかな?」
そう思うと胸がトクントクンと静かに脈を打つのだった。
―学校―
あのあと、りっちゃんは先に学校に行ったのか、もう家には居なかった。
「これから…大丈夫かなぁ?」
なんだかとてつもなく不安になってきた。
りっちゃんと上手くやっていけるのか、お店はちゃんと経営できるのか…。
「萌花~!おっはよ!なんか暗い顔してるけど大丈夫?」
朝から元気な声で挨拶をしたのは、親友の榊 朱音 (さかき あかね)。
「朱音~…!!」
私は朱音に昨日と今日の経緯をあらいざらい話した。
両親が1年間、海外旅行に行くこと。
お店を任されたこと。
りっちゃんと一緒に住むことになったこと。
りっちゃんの昔の話。
「え!?同せ…!?」
「ちょっと!朱音!!声大きい!」
慌てて、朱音の口を手で塞いだ。
朱音は手でごめん。と申し訳なさそうな顔をした。
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