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シチューをかき混ぜていた手が、ペースを落とす。
そのとき、視界の両端から、何かが体を取り巻くかのように回された。
それはかすみの腕の下へ回り込み、お腹の辺りで結ばれた。
「ひぁっ!?」
「…何だよ」
耳に、直に優の息がかかる。
頭に直接響くテノールの声に、かすみは少しだけ身を捩った。
「コラ。逃げんな」
「ふ…だ、だって……っ。いま…気付いたの…」
「は?何をだ」
「ゆ…優の、声、ね…?かすみ、すき…」
「…そうかよ」
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