第1章

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シチューをかき混ぜていた手が、ペースを落とす。 そのとき、視界の両端から、何かが体を取り巻くかのように回された。 それはかすみの腕の下へ回り込み、お腹の辺りで結ばれた。 「ひぁっ!?」 「…何だよ」 耳に、直に優の息がかかる。 頭に直接響くテノールの声に、かすみは少しだけ身を捩った。 「コラ。逃げんな」 「ふ…だ、だって……っ。いま…気付いたの…」 「は?何をだ」 「ゆ…優の、声、ね…?かすみ、すき…」 「…そうかよ」
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