第1章

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「…もしかして、私に引っ付くためだけに来たの?」 優から返事は返ってこない。 彼の無言は、肯定を表す。 「優、15年前って…優も、颯も、夏樹も、かすみも、みんなまだ赤ちゃんだよ?」 「………」 「ねぇー」 「…いつから好きんなったのか、覚えてねぇんだよ…」 そんな嬉しいことを言われると、いやでも視界が揺らぐ。 慌ててコンロを切り、鍋に蓋をした。 そして、空いた両手で目をごしごしと擦る。 「かすみ?」
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