第1章

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それに気が付いた優は、今度はかすみの頬に唇が付くくらい近くに顔を移動させた。 かすみは首を横に振って、さらに強く目の上で手を左右させる。 「ちがっ…違う、の…。いやだったんじゃないの…っ」 かすみはひっく、ひっくとこどものように泣きじゃくりながらも、必死に泣き止もうとする。 優は慌てる様子も、呆れる様子もなく、かすみの肩に両手を添えてゆっくりと向かい合わせになるようにかすみを反転させた。 「こどもなのはどっちだよ」 「わかんないぃ…」 「…お前最近よく泣くな」 「うー…だって…」 「“だって”?」
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