師走

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大学に入学した時はラグビーなんか興味は無かった。 アメフトとラグビーの差も知らない程だった。 きっかけは単純。 同じ学部の可愛い子がラグビー部のマネージャーという話を聞いたからだ。 不純な動機で入ったクラブで待っていたのは、地獄という名の練習だった。 タックルをするのも受けるのも冗談抜きで死に物狂いだった。 走る距離も尋常じゃなく長い。 首が折れる話を聞いた、マラソンの次にしんどい競技と聞いた、目の前で先輩の骨が折れた。 辞める理由はいくらでもあった。 しかし続けた、そこにはもはや不純な動機は無かった。 単純に楽しかったのだ。仲間と励まし合い、ケガを恐れず果敢にぶつかり合う。 人生の中でこんな体験が出来るだろうか? 私はのめりこんでいった。 窓から映る冬景色を眺めながら、ふと昔を思い出した。 .
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