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やがて、その炎が小さく別れて行く。
炎を細かくするとことまでは上手く行くが、秋がやったように綿のようには飛ばない。
何度もやり直す。
「もっと細かくしないと飛ばねえよ。」
秋は二人を見守っている。
皐月の手の平の炎がふわっと散らばる。
「あっ出来たっ。」
続いて京もすぐに成功。
辺りは二人が放った炎が散りばめられている。
ふわふわと青い光が一面に漂っている。
「じゃあ、こういうのは?」
秋は手に青い炎を灯し、そっと宙に放つ。
それはすぐに小さくなって消えたかと思うと、また再燃する。それを繰り返す。
まるで点滅しているようだ。
秋はそれを幾つも作って放つ。
皐月と京の放った炎のなかに秋のそれが加わって、辺りはまるでイルミネーションのようだ。
「すげえ、いいな。」
京が満足そうに言う。
「何をしてるんだ。人の能力を使って。」
不意に声がした。
三鬼が同時に声のした方を見る。
和正は三鬼にやさしい眼差しを返す。
青い炎の中に佇む三鬼の姿が幻想的で、和正は目を見張った。
「すごいな。」
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